ひこうきがとばなかったときのはなし

備忘録。短いです。

 

東京に舞台を観に行くんだ!と、数ヶ月前から楽しみにしていた日がやってきた。全く雪かきされてない、轍でボコボコの国道を空港に向かって車でひた走る朝。もうずっとロデオマシン乗ってるかのような揺れよ。ガンガンガンガンゴンゴン。

 

しかし、午前中の便、まさかの全欠航。空港に着いてから知る。この時点で搭乗予定まで3時間以上ある。

乗るはずだった午後イチの便も、滑走路の除雪が間に合わず、東京からの飛行機が着陸できないが故に折り返せない。夕方の便ならギリギリ上演時間内に着ける...!ただし、キャンセル待ちが出て繰り上げ搭乗が出来た場合の話。その次の便じゃ舞台は終わってる。

 

とりあえずキャンセル待ちが出ることを祈って、待ちぼうけだな....と、そこまで考えて一番の問題点に気づく。

 

公演のチケットは私が持ってる。同行予定の友人はすでに東京にいるが、このままじゃ入れない。

知恵袋を調べたり、友人に相談したり。向こう(劇場)からしたら私がチケット持ってるっていう証拠なくない?調べられるもんかね?いける?

手元のチケットには「いかなる場合も再発行は行いません。」との記述。

「これは......無事に東京へ着ける約束がされている人に土下座して、チケットを友人に手渡ししてもらうようにするのが確実では...?」などと考えて封筒を買いに100円ショップまでまた雪道をひた走る(バカ)。

 

100円ショップの駐車場到着。我に返って、友人に再相談。やはり劇場に電話するのが確実だろうという結論に落ち着き、早速連絡する。

 

「今日の公演に行く予定の者ですが、飛行機が飛ばないかも知れなくて、チケットは私が持ってるんですけど、すでに現地にいる友人がこのままだと入れないんですが、振り替えなんかはしていただけますか?」

『主催者側に取り次ぎますので、直接ご相談ください』

「(え?何?まじ?そんなことできんの?)はい」

 

主催者側のスタッフさんに替わる。若そうなお兄さん。上記の説明を繰り返す私。

『なるほど。そうしたら、お名前と、座席番号と、発券した時のアドレスとか、電話番号とか、IDとか、なにか特定できるものを教えてください。』

名前、電話番号、座席番号を伝える。

「えーーーと...IDとかなくってですね......受付番号とかいうのならあります(予約時のメールを見ながら)」

『じゃあそれも教えておいてください。発売元から、お客様が発券済みであることを確認できれば、お連れ様の座席は手配できますので、また折り返し連絡しますね』

「は...!ほんとですか...!お願いします!」

 

こういうのを神対応って言うんだな...!!!!!

と一人で車の中でガッツポーズした。ありがとうさわやかなお兄さん。え?そんなざっくりでいいの?確認できるもんなの?

 

折り返しがあるまで暇だからコンビニでお昼を買って食べ、空港に戻り、滑走路の除雪作業をする様子をぼーっと眺めていると着信が。

 

『先程お問い合わせいただきました とら さんでお間違い無いですか?』

「はい、私です」

『発売元に確認しましたところですね〜、』

「(え?このトーンダメなやつじゃん?低っ)」

『発券済みの確認が取れましたので、お連れ様をご案内できます』

「(!?)...ああああああありがとうございます......!!」

『お連れ様には直接劇場にお越しいただいて、スタッフにお名前を言っていただけたらご案内できるようにしておきます』

「はい!ほんとですか!ありがとうございます!(テンション上昇)」

そして友人の名前を伝える。

『ただし、規則によってですね、お客様がチケットをお持ちとされる席が、開演5分前になっても空席の場合にご案内が認められると言う不文律がありまして、お連れ様には開演5分前までお待ちいただくことになります。』

「なるほど!伝えます!(なにを答えるのもハイになっている)」

『よろしくお伝えくださいませ。お待ちしております!(お兄さんも若干いいテンションに)』

 

もちろん追加料金なんてないし、実際に友人は私が到着した時にはしっかり座って観劇していた。すんばらしい。とてもありがたい対応。神。まさに神。

 

私も無事にキャンセル待ち繰り上げ搭乗することができたので、友人に「遅れて行くから、その旨をスタッフさんに伝えて」と言伝して、飛行機に飛び乗った。離陸予定時刻ギリギリの案内だったので、保安検査場を駆け抜け、文字通り飛び乗った。

 

開演してすでに30分は過ぎた頃に劇場に到着した。遅れて来る人がいるという情報はその場にいた誰もに伝わっていたようですごく手厚い案内をしていただいた。ありがてぇありがてぇ。無事に着席し、最後まで劇団の皆さんの勇姿を見届けた。

 

今後もこんな事態に陥った場合、慌てずに劇場や主催者に連絡すれば、ひょっとしたら何かしらの策を考えてくれるかもしれない。ありがとう紀◯国屋ホール。ありがとうエイ◯ックス。ありがとう◯ープラス。手数料取り過ぎとか文句言ってごめんなさい。

そんな感じで、天候のことなんて心配していなかったこと、チケットを友人に発券してもらわなかったことなどを猛省し、いい経験をしたなぁとも思ったので、とりあえず書き記しておきます。短いですって前置きしたのに割と長くなった。